ライブハウスやスタジオでアンプから音が出ないと焦りますよね。ただ、音の出なくなる原因や対処法を知っておくことで、実際にトラブルが発生しても焦らず原因を特定できるようになります。
実は音が出ないトラブルに関しては、機材の故障が原因の場合よりも、人間のミスで音が出ない場合の方が圧倒的に多いです。今回説明するものの中には凡ミスも多いですが、エレキギター歴が長くても意外とこうしたミスはあるものです。
この記事ではこうしたトラブルに関して原因や対処法を解説します。
基本的な接続に問題がある場合
まず、基本的な接続、エレキギターや機材の使い方に問題がある場合です。
アンプやエフェクターのコンセントが挿さってない・電源が入っていない
ライブハウスやスタジオで、スタッフさんがコンセントを挿しておいてくれていると思っていると、意外と刺さっていないということはあります。アンプやエフェクターは電源・スタンバイスイッチを入れるとランプが光ることが多いので、接続されている機器のランプを確認してみましょう。電池駆動タイプのアンプやエフェクターの場合は電池切れにも注意しましょう。
アンプのINPUT端子以外にシールドを挿している
これは初心者に多いミスです。ギターからエフェクターを通し、繋がっているケーブルを、最終的にアンプの「INPUT」端子に挿すのですが、ちゃんと「INPUT」端子に刺さっているか確認してみましょう。これがヘッドフォン端子にささってたり、別の端子に挿さってたりすると当然ながら音が出ません。
ケーブル類の挿し込みがきちんとできていない
ギターとエフェクター、エフェクター同士の接続、エフェクターとアンプを繋ぐケーブルがジャックにきちんと奥まで刺さっているか確認しましょう。
ケーブルをさしこむジャック部分の接触不良
エレキギター本体、エフェクター、アンプそれぞれにケーブルをさしこむジャックがありますが、こうした部分は接触不良を起こしやすい部分と言えます。普段の練習時から変なノイズが出たり、ガリガリという音が出るようなら一度リペアに出してみると良いでしょう。
ケーブルが断線している
シールドの中は細いワイヤーが入っていますが、持ち運びや収納時に巻いたり、折り曲げたり引っ張ったりすると、断線してしまうこともあります。もしシールドを替えて音が出たなら断線と考えられます。知識と技術のある人は、はんだごてを使って治せますが、予備のシールドを用意しておくと時間もかからずに対処できます。また、シールドケーブルだけでなく、スピーカーケーブルの断線の可能性もあります。
ギター本体のボリュームがゼロになっている
基本的なことですが、ギター本体のボリュームがゼロになっていることを忘れてしまうことは時々あるものです。トラブルが起きたと思うとあわてる気持ちになりますが、落ち着いてボリュームを上げてみましょう。ギター本体のボリュームは10(MAX)が基本です。
また、ギタータイプによっては、ピックアップごとにボリュームコントロールノブがあるモデルもあります。こういったモデルの場合はセレクトしたピックアップのボリュームが上がっていないと音が出ません。
ギター本体内部に損傷がある
エレキギターの内部に繊細なパーツを多く含みます。また、それらを繋ぐワイヤーも結構細いものが多いです。そのため、内部の見えない部分で断線してることもあります。アンプを替えてみても音が出なければ、ギターが故障してるかもしれません。
アクティブピックアップの電池切れ
ピックアップには電池で駆動させるアクティブピックアップというものもあります。アクティブピックアップは電池が切れていたら音が出ません。
アンプのセッティングに問題がある場合や、損傷がある場合
次にアンプのセッティングに問題がある場合や、損傷がある場合です。
アンプヘッドとキャビネットがスピーカーケーブルで繋がっていない
これはスタックタイプのアンプの場合に起こるミスです。ヘッドアンプとキャビネットを繋がずに電源を入れるとアンプが壊れることもあるので気を付けましょう。アンプによってはジャックがいくつもあるモデルもあるため、正しいジャックにスピーカーケーブルが刺さっているか確認してから電源を入れましょう。分からない場合は説明書で確認したり、スタジオやライブハウスのアンプの場合はスタッフさんに確認してみましょう。
アンプのボリュームがゼロになっている
アンプのボリュームがゼロになっている場合、当然音は出ません。またアンプによってはトーンコントロールがゼロだと音が出ないので、トーンコントロールを5辺りに設定し、最後にアンプのボリュームを少しずつ上げていき音が出るか確認してみましょう。
スピーカーとヘッドフォンの切り替え設定が間違っている
「スピーカースイッチ」が付いているアンプもあります。こうしたアンプの場合、スピーカースイッチをオンにしないと音が出ません。スピーカースイッチがオフになっていてもヘッドフォンからは音が出るアンプもあります。スピーカースイッチをオンにして、ヘッドフォンからは音を聴けてもスピーカーから音が出ない場合、スピーカーへの配線や、アンプの故障の可能性も考えられるので、原因を探ってみましょう。
また、自宅用アンプの場合、ヘッドフォンを挿しているとスピーカー部分からは音が出なくなるタイプのものが多いです。
アンプのチャンネル設定を間違えている
アンプによってはいくつかのチャンネルを切り替えることができるモデルがあります。それぞれのチャンネルによって、ボリュームやゲインのツマミが別の場所にあったりもします。なので、現在選択してるチャンネルに対応していないボリュームやゲインを上げてしまい、「音が出ない・・・」となる場合があります。こうした場合は対応するチャンネルのボリュームやゲインを上げるか、チャンネルを切り替えれば解決します。チャンネルを切り替えるにはCANNNELボタンを押します。もしくはアンプの裏に繋がっているフットスイッチを押してみましょう。
アンプの「SEND/RETURN」端子の設定を間違えている
アンプによっては「SEND/RETURN」機能があるモデルもあります。これはアンプの中のプリアンプとパワーアンプの間にエフェクターなどの機器をつなぐための機能なのですが、この「SEND/RETURN」端子に何もつないでいない状態なのに、「SEND/RETURN」機能を使う設定になっていると音が出ない場合があります。
具体的には、アンプの「Fx LOOP」スイッチがオンになっていて、かつ設定が100%WETの場合です。このような場合、「Fx LOOP」スイッチをオフにしましょう。「Fx LOOP」スイッチはリアパネルにある場合もあります。
アンプ内部に損傷がある
アンプ内部で真空管が焼き切れる、ヒューズが飛ぶ・・・といったトラブルが発生する場合もあります。もし他のアンプに替えて音が出たら、アンプの故障が疑われます。アンプの中身を下手にいじると、恐ろしい結果をもたらします。この場合はすぐに修理することは難しいので、代わりのアンプがあればそれで対応するしかありません。
エフェクターのセッティングに問題がある場合や、損傷がある場合
最後に、エフェクターのセッティングに問題がある場合や、損傷がある場合です。
エフェクターの「INPUT/OUTPUT」を間違えて接続している
エフェクターの「INPUT/OUTPUT」を間違えて接続するミスは、多くの人がやってしまいがちなミスです。この場合も当然音は出ません。
エフェクターの電源が入っていない
接続しているエフェクターの電源が入っていなければ音は出ません。エフェクターを電池駆動させている場合は電池切れにも注意しましょう。電池残量が少なくなってくるとLEDの発光が弱くなってくるモデルもあります。
エフェクターのボリュームが上がっていない
接続している全てのエフェクターのボリュームが上がっていないと音は出ません。
エフェクターのチャンネル設定を間違えている
多機能なアンプのようにエフェクターによっても、いくつかのチャンネルを切り替えることができるモデルがあります。それぞれのチャンネルによって、ボリュームやゲインのツマミが別の場所にあったりもします。現在選択してるチャンネルに対応していないボリュームやゲインを上げても音は出ません。対応するチャンネルのボリュームやゲインを上げるか、チャンネルを切り替えましょう。
エフェクターがミュートになっている
エフェクターによっては、チューナーモードにした時にはミュートになる機能を持つモデルがあります。こうしたエフェクターの機能でミュートになっていないか確認してみましょう。
エフェクター内部に損傷がある
エフェクターはアンプより頑丈であるものの内部は精密機器ですから、持ち運びの振動で内部のパーツが損傷することもあります。この場合はすぐに直すことは難しいですから、代わりのものを使うかエフェクター無しで対処する必要があります。
原因特定の手順
もし音が出ないトラブルに見舞われてしまった時の原因特定の手順を説明します。
①電源ランプの確認
全ての電源ランプが点灯しているかを確認します。もし点灯していなければ、電源関係のトラブルを探ってみます。
②アンプとギターだけをつないでみる
シンプルな状況で原因を探るために、アンプとギターだけをつないでみましょう。もし音が出なければ、アンプ・ギター・シールドのどれかでトラブルが発生していると疑われます。
③エフェクターを一つずつつないでみる
②で音が出る場合は、エフェクターでのトラブルが疑われるので、使用するエフェクターを一つずつ繋いでいきトラブルが発生しているエフェクターを特定します。
まとめ
音が出ないトラブルはある程度エレキギター歴がある人でも発生するものです。ただ、エレキギター歴が長い人はやはり難なく対処する場合も多いです。エレキギターを弾くうえでトラブルは必ず発生するものと考え、慌てず冷静に対処していきましょう。淡々とチェックしていくのが大切です。