エレキギターのピックアップって何?シングルコイルとハムバッカーの違い

ギター
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ピックアップはエレキギターの中でも音に関して大きな影響を持つパーツの一つです。しかし、どうして音が出るのか、どんなピックアップがあり、それぞれどんな特性があるのかわからない人も多いと思います。この記事ではピックアップについて基礎から解説していきます。

ピックアップとは

ピックアップとはエレキギターのボディの中心にある棒状のものです。↑の写真ですとブリッジとネックの間に3つ並んでいますね。エレキギターを弾くと、この部分が音を拾い、そのサウンドを電気信号に変換してアンプに送ります。その信号がアンプで増幅されることで、アンプからエレキギターのサウンドが出力されます。わかりやすく例えるとマイクのようなものです。

アコースティックギターとエレキギターの一番大きな違いがこのピックアップの有無です。ピックアップで基本となる音の変化を作り出しているため、ピックアップの種類によって音が変化し、仕組みを理解し使いこなすことで音作りの幅が広がります。

エレキギターに使われる最も一般的なピックアップを「マグネティックピックアップ」と言います。

ピックアップの仕組みと構造

「ピックアップ」は英語の「pick up(拾い上げる)」から取った名前であり、弦が振動した音を拾い上げ電気信号へと変える装置です。「PU」と略されることもあります。

ピックアップは磁石とコイルで構成されていて、磁石(丸く突き出た金属部分)が生み出している磁界が乱されることにより電流が生まれ、音を電気信号へと変換するという仕組みになっています。

シングルコイルとハムバッカー

マグネティックピックアップは構造の違いから「シングルコイルピックアップ」と「ハムバッカー(ハムバッキングピックアップ)」の2種類に分けることができます。

この2種類の特徴を見ていきましょう!

シングルコイルピックアップ

シングルコイルピックアップは、弦の振動を音の信号に変える磁石とコイルが1セットになっていて、マグネティックピックアップの中でも最もシンプルな構造のピックアップです。磁石とコイルが1セットしかないので出力はあまり大きくありませんが、弦の振動を繊細に伝えることができます。サウンドが低音寄りになりがちなハムバッカーに比べ、高音域が豊かで艶があり輪郭もはっきりとした音が特徴的です。

歪ませることも可能ですが、ハムバッカーと比べるとパワーはありません。また、ノイズに弱いため、音を深く歪ませるとノイズも大きくなってしまいます。近年ではこうしたシングルコイルのノイズを軽減したモデルも存在します。

シングルコイルのサウンド

高音寄りで艶があり、弦とピックが触れた時のアタック音がハッキリしている
軽く歪ませたカッティングに向いたサウンド
ハムバッカーに比べパワーと低音域が弱く、太く重いサウンドを作るのには向かない
ノイズを拾いやすい

ハムバッカー(ハムバッキングピックアップ)

ハムバッカーはシングルコイルを二つ並べた形状をしています。中に右の写真のようにカバーがついているものも存在します。コイルが2つなので単純に出力はシングルコイルの倍ほどあります(音量はアンプその他で調整するので、音量が大きい訳でなくピックアップから出る力が大きいということです。出力が高いとアンプで音が歪みやすくなります)。サウンドは中音域や低音域が豊かで、よく「太い音」と表現されます。また、シングルコイルよりもサスティーンが長く感じられます。ただ、シングルコイルほど音の立ち上がりが優れているわけではないので、はっきりした音でカッティングをするのは向いていないです。

シングルコイルに比べ磁石もコイルも2倍になっているのでノイズも2倍になるように感じるかもしれませんが、片方のコイルは発する磁界の向きが逆になるように配線されています。こうすることでノイズを打ち消しあってくれるという構造になっています。完全にノイズがなくなるわけではないですが、シングルコイルに比べると圧倒的にノイズは少ないです。そのため深い歪みをかけることができます。

ハムバッカーのサウンド

中音域や低音域が豊かな、柔らかくウォームなサウンド
軽く明るいサウンドを作るのには向かない
出力がシングルコイルの2倍でパワーがある
ノイズに強いので深い歪みのサウンドを作りやすい

コイルタップ

コイルタップとは、ハムバッカーのピックアップを片方だけを鳴らして、シングルコイルピックアップに似たサウンドを出せるようにする機能の事です。これはハムバッカーは二つのシングルコイルピックアップを直列につないで作られているため、このうち片方だけを使うように配線を切り替えることで可能になります。切り替えは専用の小さなスイッチや、ボリュームノブなどを引っ張ることで行います。

コイルタップを使うことで、カッティングを弾く時は歯切れのいいシングルコイルを使い、パワーコードを弾く時は歪みやすいハムバッカーという感じで、ギターを持ちかえずにスイッチ1つでサウンドを切り替えることができます。

ただし、この機能は全てのギターに搭載しているわけでないので、購入前に確認しておきましょう。

パッシブとアクティブについて

ピックアップは駆動系統によっても2種類に分けることができます。「パッシブピックアップ」と「アクティブピックアップ」です。

両者の違いは、

・パッシブピックアップ:プリアンプが内蔵されていない
・アクティブピックアップ:プリアンプが内蔵されている

それぞれの特徴を見ていきましょう。

パッシブピックアップ

一般的なピックアップであり、世の中のほとんどのギターはパッシブピックアップを搭載しています。弦振動をそのままハイ・インピーダンスで電気信号へ変換しますので特に動力は必要としません。ピックアップの出力をほぼダイレクトにアンプへ出力するため、ギター本来の音色や細かいピッキングニュアンスも失われずに表現することができます。

インピーダンスとは

交流電気抵抗のことです。この抵抗値が高いことを「ハイ・インピーダンス」、低いことを「ロー・インピーダンス」と言います。ハイ・インピーダンスの方がロー・インピーダンスよりも外部ノイズを拾いやすいといった特性があります。

パッシブピックアップの特徴

プリアンプが内蔵されていないため、電池を使わない
ギター本来の音色や細かいピッキングニュアンスも失われずに表現できる
ノイズは出やすい
ギター特有の泥臭い音に向いている

アクティブピックアップ

アクティブピックアップはノイズを少なくすることを目的として開発されました。パッシブピックアップのようにハイインピーダンスだとノイズが出やすいので、敢えてローインピーダンスの信号に変換しています。内蔵のプリアンプで信号を増幅させるため、ローインピーダンスで出力することができ、ノイズも格段に減ります。ノイズが消えることでより深く歪ませることもでき、エフェクターのかかりも良くなるのでハードロックやメタル系のギタリストが使うことも多いです。また、ノイズがないためクリーンサウンドの時はよりクリーンな質感になります。

しかし、内蔵のプリアンプで増幅するためには外部からの力が必要になります。そのためアクティブピックアップ搭載のギターはボディの中に9V電池が入っています。この電池がなくなるとプリアンプで信号を増幅できなくなるため、音が出なくなるのには注意が必要です。

内蔵プリアンプで電気信号を増幅しているため、パッシブピックアップよりは細かいピッキングニュアンスやギター本来の音は失われがちです。「アクティブピックアップを使うと、誰が弾いても、どのギターでも同じ出音になる」という意見を耳にするのはこのためです。

アクティブピックアップの特徴

9V電池を使用し、内蔵のプリアンプで信号を増幅させている
細かいピッキングニュアンスやギター本来の音は失われがち
外部ノイズに強い
より歪んだ音や、よりクリーンな音を作ることができる

変則的なサイズのピックアップもある

より好みの音を求めてピックアップを交換したくなる時もあると思います。しかしシングルコイルがあった部分にハムバッカーを搭載しようとするとサイズが合いません。このような場合はギター本体に加工を施す必要があります。楽器屋で加工する費用がかかることと、一度加工すると基本的には元に戻すことはできないため、気軽にはできません。

そのため、「ハムバッカーサイズのシングルコイル」や「シングルコイルサイズのハムバッカー」といったものが販売されています。こうしたピックアップの登場により、ボディを加工しないでピックアップだけを交換できたり、新しく交換したピックアップのサウンドが気に入らなくても、すぐに交換前の状態に戻すことが可能になりました。

ハムバッカーサイズのシングルコイルピックアップ

サイズはハムバッカーと同じですが、中身はシングルコイルとなっているピックアップです。音は完全にシングルコイルと同じではなく、通常のシングルコイルより太い音のため、シングルコイルとハムバッカーの中間のようなサウンドです。

シングルコイルサイズのハムバッカー

こちらはシングルコイルと同じサイズですが、中身はハムバッカーとなっているピックアップです。こちらも音は完全にハムバッカーと同じではなく、ハムバッカーのようなパワーを出せるシングルコイル、といったサウンドです。

まとめ

自分のやりたい音楽、プレイスタイルを追求していく中で、ピックアップの追及も欠かせないものです。最初のうちは気にしなくてもいいですが、まずは自分のギターのピックアップの特性を知ることから始めてみましょう。興味が出てきたら、楽器屋やスタジオで色々なピックアップのギターを試奏したりして、音の違いを体感してみるのも良いと思います。

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