はじめての歪みエフェクター!仕組みや種類を基礎から解説

エフェクター
記事内に広告が含まれています。

初めてのエフェクターを購入する場合、多くの人が歪み(エフェクターの話をする場合は「ゆがみ」ではなく「ひずみ」と読みます)エフェクターを選ぶでしょう。それは歪みがエレキギターの音作りにおいてなくてはならない存在だからです。この記事では歪みエフェクターの仕組みや使い方、種類を基礎から解説していきます。ぜひ購入の際の参考にしてみてください!

歪みってなに?

いわゆる「エレキギターのロックなサウンド」と言われて一般的に想像される音は、歪んだ音です。「ドライブサウンド」と呼ばれたりもします。元々は1940年代に真空管アンプのボリュームを上げると音が歪むという現象を発見したのをきっかけに、ブルースなどのジャンルで取り入れられるようになりました。

その歪みを電気的な作用によって意図的に作ることができるのが「歪みエフェクター」です。現在では、ロックやポップスなど様々な音楽ジャンルで歪んだ音が使われています。

どうしてエレキギターから歪んだ音が出るの?

歪んだサウンドがどのように作られているかを知っておくことは、音作りの際に役立ちます。

そもそもエレキギターから発せられる電気信号は小さいため、ギターアンプのプリアンプ部分で増幅し、パワーアンプに送られます。そしてパワーアンプでは、この信号をスピーカーで鳴らすレベルまで更に増幅させます。このときプリアンプで増幅された信号が大きすぎると、その信号をパワーアンプが受け入れきれなくなってしまうのです。

その場合、その音の波形の上下を回路を通過できるレベルの限界で切り取って(クリッピング)出力します。このクリッピングされた音が歪みサウンドなのです。そのため、アンプの「GAIN」を上げていくと音量も上がっていきますが、ある一定の音量に達すると歪み量だけが上がり音量は上がらなくなります。

オーバードライブとは?

本来は、ギターアンプに過大入力を与え、「回路の限界値を超えて出力音が潰れてしまった状態のこと」を指します。

ディストーションとは?

本来は、オーバードライブして出力された「歪んだ音」のことを指します。

そして、そのアンプで起こる歪み現象をエフェクターを使い再現するのが歪み系エフェクターです。意図的に電気信号をクリッピングさせることで歪んだサウンドを作り出します。

エレキギターに歪みをかけるとどうなるの?

エレキギターに歪みをかけるとどうなるのでしょうか?歪ませることにはメリットだけでなくデメリットもあります。

エレキギターの音を歪ませるメリット

エレキギターの音を歪ませるメリットを説明します。

エレキギターらしい荒々しいサウンドになる

音を歪ませる一番のメリットは、やはり荒々しさを出す点にあります。歪んだ音の方が感情を表現しやすい場合もあります。

倍音が多く出るようになる

歪んだサウンドには原音にはない豊富な「倍音」を含み、迫力のある分厚いサウンドになります。

倍音とは?

音を鳴らした時に、その音の振動数の整数倍の音も自然に発生します。それらの音を「倍音」といいます。例えば100hzの音が基準であれば、200hzの音が倍音になります。倍音は各楽器の音色を決定する大きな要素です。倍音の豊かなギターは音の輪郭や力強さがあり、表情の豊かな音になりますが、個性の強すぎる音になったりもします。

サスティーンが長くなる

クリッピングされた音は一定のレベルが保たれるため、サスティーンも長くなります。

サスティーンとは?

英語で「支える、持続させる」という意味で、音楽においては楽器の音が発生してから、音が途切れるまでの余韻を指します。

エレキギターの音を歪ませるデメリット

エレキギターの音を歪ませるデメリットを説明します。

音の抜けが悪くなる

音割れしたスピーカーと音割れしていないスピーカーでは、前者の方が聴き取りにくいように、歪んだサウンドは聞き取りにくい音になります。音の抜けが悪くなるため、バンドで演奏する場合、他のパートの音にかき消されてしまうこともあるので注意が必要です。

音の「抜け」とは?

音の「抜け」とは、バンドなどのアンサンブルの中で音が埋もれない、聴きやすいということを意味します。

演奏にニュアンスが付けにくくなる

歪んだ音になると、ピッキングの強弱が反映されにくくなります。

ノイズが出やすくなる

歪みを作り出すために電気信号を増幅しているので、ノイズも増幅されやすくなります。

歪み系エフェクターを使うメリット

そもそもアンプで歪ませることができるのに、なぜ歪み系エフェクターを使う必要があるのでしょうか?

その理由として以下の3つが挙げられます。

曲中でクリーンサウンドと歪みサウンドを使い分けることができる

1曲の中で、クリーンサウンドを使う場面と歪ませたサウンドを使う場面がある場合、歪み系エフェクターをオンオフすることでクリーンサウンドと歪みサウンドを切り替えることができます。

いくつかのタイプの歪みを使い分けることができる

いくつかの歪み系エフェクターを用意することで、いくつかの歪みサウンドを切り替えながら演奏することができます。Aメロは軽めのクランチ、サビではディストーションサウンド、ギターソロではさらに歪んだハイゲインサウンドといったように複数の歪みを切り替えながら演奏する場合に有効です。

アンプの歪みの補助的に使うことができる

アンプの歪みにエフェクターによる歪みを足すことで、歪みを深くしたり、少し別の雰囲気を出すことができます。後述するブースターとしての使用もこれに当たります。

歪みエフェクターの使い方

歪みエフェクターの使い方には大きく分けると2つの使い方があります。「歪みとして単体での使用」と「ブースターとしての使用」です。

歪みとして単体での使用

基本的な歪みエフェクターの使い方です。アンプの歪みに足したり、アンプ自体はクリーントーンにして歪みをかけます。

ブースターとしての使用

ギターソロを弾く時などに音を補正する使い方です。オーバードライブなどの歪みペダルを「GAIN」を絞り「VOLUME」を上げた状態で使用すると、ギターサウンドが前面に飛び出てきます。

「GAIN」と「VOLUME」の違いって何?

音作りの際に歪みをコントロールするツマミは、主に「GAIN」や「DRIVE」のツマミと、「VOLUME」のツマミです。「GAIN」や「DRIVE」のツマミは、歪みを強くするというイメージがありますが、やっていることは「入力信号の増幅」です。入力信号を増幅させることで、音がクリッピングしやすくなり、結果として歪みが強くなります。
一方、「VOLUME」のツマミは、アンプやスピーカーから出る音量をコントロールします。つまり、「GAIN」や「DRIVE」のツマミは、ギターからアンプへの入力(INPUT)を、「VOLUME」のツマミはアンプからスピーカーへの出力(OUTPUT)を制御するイメージです。

歪みエフェクターを購入する時のポイント

歪みエフェクターを購入する時のポイントを紹介します。

①歪みの種類で選ぶ

歪み系エフェクターは一般的に、オーバードライブ、ディストーション、ファズの3種類に分けることができます。演奏したい音楽ジャンルやプレイスタイルから、自分に必要なのはどのタイプの歪みなのかを考えてみましょう。

②使い方で選ぶ

歪みエフェクターをメインの歪みとして使うのか、ブースターとして使うのかによって購入すべきモデルが変わってきます。どういった使い方をしたいのか想定した上で購入するモデルを選びましょう。

③値段で選ぶ

エフェクター購入時には値段も重要なポイントです。近年は価格が安くても性能のいいモデルが増えてきていますから、やみくもに高価なモデルを購入するよりもコストパフォーマンスを重視した方がいいでしょう。特に初心者のうちは音の好みがはっきりしないので高価なモデルを購入してもすぐに好みが変わってしまう場合も多いです。

④試奏してから購入しよう

エフェクターを購入する前には楽器屋さんで試奏したりスタジオでレンタルしたりして、実物を見たり試奏してから購入することをおすすめします。特に初心者のうちは基本的なエフェクターの音でもイメージできない場合もあるので、「思っていた音と違った」とならないように必ず試奏をしてみましょう。

歪み系エフェクターの種類

歪み系エフェクターは一般的に、オーバードライブ、ディストーション、ファズの3種類に分けることができます。

オーバードライブ

オーバードライブは歪み系の中では最もポピュラーなエフェクターで、真空管アンプを歪ませたような温かみのある歪みをかけたい時に使用します。歪みはアンプで作るという人も、アンプの歪みと合わせて使用したり、ブースターとして使用できるので1つ持っておくことはおすすめです。

ディストーション

ディストーションはオーバードライブよりも深い歪みをかけるときに使います。主にハードロックやヘヴィメタルなどの激しい音楽に使用されることが多いですが、現代ではポップスでも使われます。単体で十分歪むので基本的にアンプはクリーンな設定にして使います。

ファズ

ファズ (fuzz) とは「毛羽立った」という意味で、粒が大きく荒々しい歪みを作り出します。原音には存在しない倍音が強く出ることで、刺激的な音や濁った音になります。オーバードライブやディストーションがアンプへの過大入力により作り出される歪みを基本としているのに対し、ファズはもっと加工されたような性質のサウンドです。具体的には、ディストーションはきめ細かく滑らかなサウンドが特徴的ですが、反対にファズは粒が荒く、潰れたようなサウンドが特徴的です。基本的にはディストーションやオーバードライブよりも荒々しくザラザラした歪みを出したい時に使います。

初心者におすすめのオーバードライブペダル

初心者におすすめのオーバードライブペダルを紹介します。

BOSS SD-1 SUPER OverDrive

40年以上売れているオーバードライブペダルで、明るくマイルドな歪みがかかります。もともと、BOSSが発売していたオーバードライブペダル「OD-1」に「TONE」コントロールを加えて音作りを追い込めるように進化させたモデルが「SD-1」です。単体で歪みをかけるのに使っても良いのですが、アンプの歪みに「SD-1」の歪みを足してあげると、アンプの歪みにさらなる色気が増幅され、とても心地よいサウンドが得られます。
また、ギターソロなどの時のブースターとしてもよく使われています。

BOSS OD-3 OverDrive

「SD-1」と並んで定番のオーバードライブペダルです。暖かさと明るさを思わせるサウンドで、単体でそれなりのゲイン量を得ることができます。ハードロックやメタルなどの深い歪みを必要とする音楽でなければ「OD-1」単体でもかなり使える音になります。
「SD-1」との違いは、「SD-1」が明るくキメの細かいオーバードライブなのに対して、「OD-3」は明るいものの「SD-1」ほど明るくはなく少し荒々しいオーバードライブと言えます。また、「SD-1」より太めな音でノイズも少ないです。こちらもブースターとしてもよく使われています。

BOSS BD-2 Blues Driver

明るいイメージの歪みをかける「SD-1」や「OD-3」に対して、この「BD-2」はやや暗く荒々しさを持つオーバードライブです。「Blues Driver」という名前ですが、ブルースだけでなくロック、ポップス、ファンクなど幅広いジャンルで使用されています。荒々しくもコードの響きがしっかり出ます。
「BD-2」自体でメインのドライブサウンドを作るのはもちろん、「BD-2」でアンプへの入力ゲインをブーストすることで、アンプの歪みをさらに深くするような使い方もできます。

BD-2について、より詳しく知りたい方は下記の記事がおすすめです。

Ibanez TS9 Tube Screamer

もはや歪みエフェクターのカテゴリの1つとなっているTS。音色はかなりミッドレンジに寄った音で、歪みの粒は細かいものの単体ではあまり歪みません。しかしこうした特性からチューブアンプとの相性が良く、クリーンサウンドにプラスすればよりブルージーに、歪みサウンドと組み合わせればマイルドな歪みになります。
また、比較的素直な歪み方でアンプの持つサウンドキャラクターを変えることなくゲインを稼ぐことができるため、ブースターとして使われることが主流です。

初心者におすすめのディストーションペダル

初心者におすすめのディストーションペダルを紹介します。

BOSS DS-1 Distortion

長きにわたって愛されているディストーションペダルです。「DIST」ツマミをいじることで、クランチから強い歪みまで作ることができます。また、「TONE」ツマミをいじることで重量感のある音から鋭い音まで作ることができます。操作性が良く、いわゆる定番のディストーションサウンドをパッと作ることができます。

BOSS MT-2 Metal Zone

メタルで使えるような、より深いディストーションを実現するのがこの「MT-2」です。キメ細かいディストーションで簡単にメタルサウンドが手に入ります。4つあるツマミのうち2つは「2軸」となっているため、実質6つのツマミを搭載しています。そのため、音作りの幅が広いペダルと言えます。ハイゲインゆえにノイズが出やすいので、シングルコイルよりハムバッカー向きです。

初心者におすすめのファズペダル

初心者におすすめのファズペダルを紹介します。

JIM DUNLOP Fuzz Face Mini Hendrix

ギタリスト「Jimi Hendrix」の名前を冠したファズペダルです。ファズペダルの定番シリーズ「Fuzz Face」らしい温かみのあるサウンドでありながら、キレのあるドライな質感が特徴です。癖の少ないサウンドで、クリーンからクランチ、そしてファズまで作ることができます。

Boss FZ-5

1960年代~1970年代のサウンドを再現したエフェクターです。音が減衰していくにつれオクターブ音が重なり、骨太なサウンドが得られます。3種類のレジェンドファズペダルのサウンドを搭載しています。

Electro Harmonix Big Muff Pi

ファズの名機として多くのギタリストに愛用されているファズペダルです。とても強い歪みと轟音が特徴で、シューゲイザーなどの音楽ジャンルでも好んで使われます。

ZVEX Vexter Fuzz Factory

今まで出せなかった激しいファズサウンドが出せるペダルです。コントロールできる要素が多く、サスティーンや音の太さはトップレベルと言えます。独特なサウンドなので飛び道具として使うことも有効です。

BEHRINGER SF300 Super Fuzz

非常に安く購入することができるファズペダルです。ツマミを最小にしても強く歪む極悪サウンドを特徴としています。2種類のファズと1種類のブースターを切り替えて使用することができます。

TC Electronic Rusty Fuzz

空間系ペダルの開発で高い評価を得るTC Electronicのファズペダルです。品質に定評があるTC Electronicなので、コストパフォーマンスが高いモデルと言えるでしょう。サウンドは豊かなサステインのクラシックなファズサウンドとなっています。

TC Electronic HONEY POT FUZZ

同じくTC Electronicのファズペダルですが、上述の「Rusty Fuzz」のいかにもファズといったザラザラしたサウンドとは異なり、少しまろやかな雰囲気のファズです。

まとめ

歪みエフェクターはエレキギターの中でもかなり奥が深い部分です。エフェクターの使い方をマスターしたり、自分にとってベストな一台を見つけることは決して簡単なことではありませんが、これもエレキギターの楽しみ方の1つなのです。少しずつ知識を増やし自分のサウンドを確立していきましょう。

タイトルとURLをコピーしました