左利きの人がギターを始める際に、「レフティ（左利き用）と右利き用、どちらを弾けばいいか？」という悩みが出てくると思います。「左利きであれば、当然レフティ(左利き用)を選ぶべき」という考えもあれば、「特別な理由がなければ、右利き用を選ぶべき」と考える人もいます。この記事では、左利き用ギターを弾くことのメリット・デメリットや、左利き用ギターの購入方法、おすすめの左利き用ギターなどを解説していきます。
左利き用ギターと右利き用ギターの違い
左利き用ギターは、左利きのプレイヤーが演奏しやすいように設計されたギターです。通常のギターは右利きのプレイヤーに最適化されており、左利きのプレイヤーが演奏しようとすると、人によっては苦労が伴います。左利き用ギターは、そのようなプレイヤーのために弦やペグ配置を左利き向けに最適化したものです。これにより、左利きのプレイヤーに適した演奏が可能です。
左利き用ギターは右利き用ギターと比較すると、楽器形状・コントロールノブの配置が左右で反対になっており、どちらも構えたときに低音弦（太い弦）が指板上側に、高音弦（細い弦）が指板下側にくるようになっています。
左利き用ギターを使うメリット
左利き用ギターにはいくつかのメリットがあります。
①ライブでの見た目にインパクトがある
左利き用ギターを使うことの魅力は、その見た目のインパクトにあります。左利きの演奏者は少ないので、ステージで斬新に映り、存在感が出ます。ライブでの見た目を重視する人にはレフティギターはおすすめと言えます。
②左利きの人にはピッキングしやすい
ギターの演奏においてピッキングは非常に重要です。ピッキングをする手は、強弱やリズムに直結しており、これが右利きか左利きかによって演奏のニュアンスが変わることがあるとされています。右利き用のギターでも慣れれば問題ないですが、音色やピッキングのしやすさを重視する人には、左利き用ギターを選ぶことが理にかなっています。左利き用ギターを使うことで、利き手のメリットを活かせるため、演奏において有利と言われています。
ただし、これからギターを始める初心者にとっては、利き手にこだわる必要はないという意見もあります。
左利き用ギターを使うデメリット
左利き用ギターにはいくつかのデメリットもあります。
①値段が割高
大手ギター・メーカー（ギブソン、フェンダー、グレッチなど）は左利き用のギターも生産していますが、製造コストの違いから同じモデルでも左利き用のほうが若干高くなることがあります。これは予算に制限がある人にとっては負担になる可能性があります。
②TAB譜やコード譜が読みにくい
通常、ギターのTAB譜は右利きプレイヤー向けに作成されており、左利きプレイヤーにとってTAB譜やコード譜は読みにくいものです。左利きプレイヤーはそれを右利き向けから左利き向けに自ら脳内で変換して演奏する必要があります。初心者は特にこの読み方に苦労することがありますが、慣れれば問題ありません。
③ギターの選択肢が少ない
左利き用ギターは一般的に製造本数が少なく、選択肢が限られています。これにより、欲しいタイプのギターを見つけるのが難しく、木材にこだわりたい人にとっても選択肢が少ないことがあります。大手メーカーでも、左利き用ギターのモデルは右利き用に比べて限られており、楽器店でも左利き用ギターがほとんど置かれていないことが一般的です。したがって、左利きギタープレイヤーはギターを選ぶ際に制約を受けることが多く、自分の好みの仕様を見つけるのが難しいことがあります。左利き用のギターは市場全体のわずか1%～2%程度しか占めておらず、その選択肢は非常に限られています。
④パーツも少ない
メンテナンス時に左利き用ギター用のパーツは限られていることも念頭に置いておくべきです。ネット通販の普及により、全く手に入らないことは少なくなりましたが、急な必要に応えるため、予備パーツをストックしておくことも検討すべきです。
そもそも左利きの人はレフティギターを弾くべきなのか
そもそも左利きの人はレフティギターを弾くべきなのでしょうか？
「左利きなら当然レフティギターを選べばいいんじゃないの？」と思うかもしれません。しかし、上で説明したように左利きのギターは数が限られており選択肢も少ないため、「これからギターを始める人は、左利きでも右利き用のギターで始めたほうがいい」という主張もあります。
利き手が逆になることで演奏上のメリットやデメリットはそこまで大きくはなく、慣れによるところが大きいです。また、プロのギタリストの中にも左利きでありながら右利き用ギターを演奏する人もいます。代表例としては、ゲイリー・ムーアやマイケル・アンジェロなどが挙げられます。左利き用ギターを使うことによるメリット・デメリットを考慮して、右利き用を使うか、左利き用を使うか決めましょう。
左利き用エレキギターはどこで購入すればいいの？
数が少ない左利き用エレキギターですが、どこで購入すればいいのでしょうか？
ネットで購入する
左利き用ギターを探す時は、検索で商品名に「Left Hand」「Left Handed」「Lefty」といった表記、またはそれを省略した「L」「LH」の記載がある商品を検索してみましょう。通販サイトによっては、オプション設定でカテゴリを特定できたり、「左利きモデルへのリンク」が右利きモデルのページに掲載されている場合もあります。
楽器店で取り寄せてもらう
一般の楽器店ではレフティモデルの在庫は稀ですが、定期的に製造されるモデルであればメーカーから取り寄せ可能なことがあります。取り寄せの可能性を確かめるために楽器店に問い合わせると良いでしょう。ただし、楽器店の取り寄せは通常購入が前提です。
中古楽器店を回ってチェックする
フェンダーやギブソン、グレッチなどの有名なエレキギターは左利き用も生産されていますが、数が限られており楽器店に常に並んでいるわけではありません。しかし、定期的に中古楽器店を訪れ情報を得ることで、思いがけず良いギターに出会えるかもしれません。
オーダーメイドする
エレキギターのオーダーメイドは高価で初心者向けではありませんが、国内の一部ギターメーカーは左利き向けのギターの製作に対応しています。実際、左利きギタリストはオーダーメイドでギターを製作することも多いです。
レフティギター＆ベースの専門店で探す
東京のお茶の水にある「谷口楽器」はレフティ専門店で、左利き用ギターを取り扱っています。この店舗では、左利き用ギターが店内に多く並んでおり、左利きギタリストにとって人気の楽器店とされています。他の店舗ではあまり見かけないモデルが豊富に揃っているため、左利きギタリストならこの店舗に訪れる価値があります。
おすすめの左利き用(レフティ)ギター
左利き用ギターには、初心者向けのリーズナブルなモデルから高品質なギターまであります。右利き用のギターよりは種類が少ないかもしれませんが、自分に合ったモデルを見つけることもできるかもしれません。ここでは、弾きやすくてサウンドやコストパフォーマンスに優れたレフティギターを紹介します。
Squier Classic Vibe ’70s Stratocaster HSS Left-Handed
リーズナブルな価格で、本格的なフェンダーサウンドを楽しめるレフティギターです。70年代のストラトの特徴を持ち、広い音域をもつメイプル指板や明瞭な高音域を備えた大型のヘッドが特長です。HSSのピックアップ構成で、ハムバッカー1基とシングルピックアップ2基を搭載し、コードストロークからロックなプレイまで幅広いスタイルに適したオールラウンドなギターです。
Squier by Fender Affinity Series Telecaster Left Hand
Fenderの子会社であるSquierが提供するコストパフォーマンスに優れたレフティギターです。価格は3万円以下で、手の届きやすいテレキャスターです。ブリッジには6wayサドルを備え、オクターブチューニングや弦高さの調整が容易です。ボディはポプラ、指板にはメイプルが採用されています。バランスが良く広い音のレンジを持つため、テレキャスターのサウンドを好む人やギターボーカルにおすすめです。
PACIFICA112JL
ヤマハの「Pacifica」シリーズは、コストパフォーマンスが高くサウンドと品質が評価されています。その中でも手頃な価格の「Pacifica112」には、レフトハンドモデルがあります。価格は3万円台で、アルダーのボディ、メイプルのネック、ローズウッドの指板など定番の素材を採用しています。ピックアップはHSS構造で、ブリッジはアーミングの軽さと安定性を重視した2点支持タイプ。様々なジャンルで使えるソロから伴奏まで幅広く対応できるレフティギターです。
AMERICAN PROFESSIONAL II STRATOCASTER LEFT-HAND
アメリカ製のフェンダーストラトキャスター愛好者におすすめなギターです。フェンダーUSAの「American Professionalシリーズ」のギターで、演奏性の良いネック形状、アーミングしやすい2点支持ブリッジ、高出力のオリジナルピックアップを備えています。ボディはアルダー、指板はメイプルで作られています。価格はやや高めですが、フェンダーらしいサウンドと演奏しやすさを持つレフティギターです。
SELDER ストラトキャスタータイプ ST-23LH/SB 初心者入門13点セット
左利き用ストラトキャスタータイプの初心者向けセットです。ギター本体はトレモロアームと3つのシングルピックアップを備えた定番のストラトキャスタータイプです。このセットには、ソフトケース、ミニアンプ、シールド、ストラップ、楽器用ピック、ピックケース、チューナーが含まれており、すぐにギター演奏を楽しめます。
まとめ
今回は、左利き用ギターを弾くことのメリット・デメリットや、左利き用ギターの購入方法、おすすめの左利き用ギターなどを解説しました。これからギターを始める人にとってはなかなか難しい問題だと思いますが、リーズナブルで気に入ったギターを選んで、まずはギターを始めてみることが大切です。
